愛する人
一年前はもう 慟哭の中にいた。
あの日までは、普通に 普通以上に幸せだった。
あの日に 世の中にこんな苦しみが存在することを
知りたくなんてなかったのに、知った。
久しぶりのデートの日
電話もlineも繋がらない。
こんなことなかった。
嫌な予感 不安 おかしい 何かがおかしい。
そんなはずない!寝てるだけ!心配性なだけ!
そう言い聞かせて 彼のところへ行った。
彼はこの世から いなくなっていた。
交差点 青信号 横断歩道 彼は渡っただけ
周りは明るく
普通に運転してくれていればこんなことにならなかったのに。
見なかった 気づかなかった と
衝突後、怖くなって逃げたと。
彼をタイヤに巻き込んだまま。