私だけ?
今日がまた、終わる。
日常がそれなりに過ぎて行く。
それなりに…それなり。
彼は最期を誰にも看取られず、痛みと恐怖に耐え、強引に魂とボロボロにされた肉体と、切り離された。
誰にも看取られず…
たった一人で…
受け入れられなかっただろうな。
辛かっただろうな。
ずっと一人で、いたんだ。
何日も…何日も。
最期に、声を掛けてくれたり、側に寄り添ってくれたり、する人はきっと、居なかった。
見てもいない光景が、脳裏から離れない。
彼の様子。
周りの様子は、浮かばない。見えない。
私も側に居てあげられなかった。
ごめんね。
寂しかったね。
ごめんね。
私の最期もそれでいい。
彼はきっと、笑顔で迎えに来てくれる。きっと、きっとね。
だから、私は一人じゃない。
私だけ、ズルイね。
ごめんね。
彼の死の意味って、どこにあるんだろう。
彼の死を無駄にしない。ってなんだろう。
今はまだ、私はちっとも不幸なんかじゃない。彼の死のが、私に不幸を齎したわけでもない。今はまだ、それしかわからない。
私は、今も世界一の幸せ者だ。
でも…私だけが幸せ。
彼は?今も幸せなのかな?