彼のお母さん③
彼が、死んでしまって…
彼の命が奪われて…
彼がいなくなってしまって…
くどくてごめん。
言い聞かせないと…
事故から数日後くらいかな。
彼のご両親に二度目に会った時くらいかな。
私は彼の飲みかけのペットボトルがある事に気付いて…
捨てられるわけないじゃん。
お母さんに渡したよ。
幼稚だけど、間接キスすれば良かった…でも、その時は
出来なかった。
何もせず、お母さんに
「彼の飲みかけの…捨てらなくて…」と、渡した。
お母さん。。。
「こんなの〜とっておいても、仕方ないっしょ〜っ!!?」
と、キッチンのシンクにドボドボドボ!
!!!
ウソでしょ???
えっ??
そんな簡単に、捨てちゃう?
はぁ。
悲しい。。。
そして、彼の部屋。
踏み入れるのも怖かった。
けど、彼と私の部屋。
大切な…大切な…
!!!
あれ?随分変わってますけど?
へ??
「息子はもう飛べるから
狭くても大丈夫だから、模様替えしたの」
。。。
。。。
そのままにしておくとか…
そんな風には思わなかったのでしょうか?
クローゼットも全開!!
彼の匂いが消えちゃう。泣
お母さん
「カビクサくなったら嫌でしょ?」
…
カビ臭くなんてならないよ。泣
彼の私物。
全て、洗濯されてる。。。
警察から、帰って来た彼の携帯も。
お母さん
「警察がベタベタ触っただろうから、除菌シートでよく拭いといた。ハイ、触って大丈夫だよ」
まぁ、確かにそうでしょうけど…
。゚(゚´Д`゚)゚。
まぁ、いいよ。
お母さんだもの。
彼の大好きなお母さんだもの。
全然大丈夫。笑(^_^;)
これが、お母さんじゃなかったら
絶対許さない!
けど、お母さんだもの。
こんなお母さん。
今、思うと
お母さん、飲みかけのペットボトルは私のために精一杯無理したのかも。
部屋の模様替えは
気持ちを、現実を精一杯受け止めようとしていたのかも。
もう、本当に帰って来ない彼を…
この先も、その事をお母さんに聞くことはない。
そこは、お互いに綱渡りのような心境だと思う。
今日も辛い。
きっと明日も辛い。
本当に
受け入れたり
思い出に変わったり
する日が来るのだろうか。
今日は少し寒かったかな。
以前は暑い夏より冬の方が好きだった。
彼も私も。
今は、冬は辛い。
彼と一緒にいた時間を肌で感じてしまう。
冬が嫌いになった。
?
春もだ。
桜は見たくない。
?
夏は大丈夫か?
微妙。
また、クリスマスやら何やらあるね。
今年はどうしよう。
毎年、彼に、彼が使えない物を買って
意味があるのだろうか。
彼は何が欲しいかな。
去年は…
一昨年は…
その前は…
辛い
お母さんも辛い。