一家団欒
彼は殺されてしまった。
殺意の無い無差別殺人と何ら変わらない。
本人にしてみたら、如何なる理由があろうとも同じこと。
でも、事実を耳にした時
自分を責めるしかなかった。
加害者がいても
何がなんだかわからず
自分を責めることしか出来なかったからだと思う。
私のせいで彼は殺されてしまった。
私は何もしてあげられなかった。
もう、ご両親に会うことは出来ない。そう
思った。
子供が亡くなるという辛い現実が突きつけられると、嫁や婿のせいにするという話を耳にする。やり場のない気持ちからなんだと思う。それも仕方ないのかも知れない。まして私の場合はご両親は私のことをよく知らなかった。彼は私が年上なので、様子をうかがっていたようだ。まぁ、それも後でわかったこと。
しばらくして、彼に会いたい。その気持ちを抑える事が出来なくて。連絡を取った。
「ずっと、待っていたよ。」
と、言ってくれた。
今も良くしていただいている。
私も彼が出来なくなってしまったことを
してあげたい。
彼のご両親への想いは、わかっているから。
お母さんの涙を一度も見た事がない。
ただの一度も。
私の前だからではない。彼が居なくなってしまった、あの日から
少なくとも、人前では、涙を見せていないと思う。
最愛の息子に心配かけないように。最愛の息子の母としての強さと誇りだと思う。それが彼女の息子への愛のカタチなんだと思う。
同じ経験をしていないから、本当のところはわからない。わかってあげたいけど…。
私が支えなきゃって思っていたのに
あまりの心の大きさ、愛の深さに
私は甘えてばかりになっている。
私はご両親の前では泣かない!と思っていたのに…泣いてばかり…。
お母さんはただただ寄り添ってくれる。
深い深い、強い強い愛情と悲しみは痛いほど伝わる。
彼がどうして、あんなに素晴らしいのか
お母さんを見ていたら、よくわかる。
彼もお母さんが大好きだった。
ヤキモチ妬いた私は愚かだった。
私もお母さんが大好き。
一度でもいいから
お父さん、お母さん、彼と私で
一家団欒したかった。
絶対楽しかった!!!
今は、すっかり嫁と姑!
おーい、もっと早く紹介すれば良かった、
って、後悔してる?